
筋トレには効果を最大限に発揮するための原理原則がある。
この原理原則を意識しながら行う事で、無駄なく確実に体を変えていける。
しかし、いくら原理原則を意識していたとしても、やはり個人差というものは出てきてしまう。その要因として、これまでの経験や体格差などがある。
これを「個別性の原則」という。

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「個別性の原則」とは

個別性の原則(Principle of Individuality) とは、
「トレーニングの効果は個人の体質・経験・目的によって異なるため、一人ひとりに合った方法を選ぶことが重要」
という考え方である。
例えば、同じメニューを行っても「筋肉がつきやすい人」と「なかなか成長しない人」がいるのは、遺伝・性別・年齢・生活習慣・トレーニング歴などが影響するためである。
この原則を意識することで、無理なく効率的にトレーニングを続けることができる。
なぜ人によって効果に差が出るのか
人間100人いたら100通りの体があるわけで、それをたった8つの原理原則(3原理・5原則)だけで変えられたら、みんな大谷翔平になれる。
でも実際には得意不得意があったり、遺伝や性別なんかも作用してくる。なので、同じトレーニングでも効果に差が出てくるということだ。
個別性を無視した場合の問題点

では、個別性の原則を無視した場合、どういった問題が起きるか。
例えばトレーニング初心者が、いきなり高重量のスクワットを行ったとしよう。
目線や膝の向き、腹圧のかけ方などがわからないままだと、間違いなく怪我につながってしまう。
そうならないためには、重量よりもフォームを優先して取り組む。自分が扱える重量を見極める。こういった基礎の部分から固めていかないといけない。
YouTubeやSNSで見たメニューをそのまま真似しても良いのか

結論、参考にするのは良いけど、見よう見まねはNG。
YouTubeやSNSにアップされているトレーニングは再生数稼ぎが目的なものも多い。トレーニングの経験がある程度あれば、その情報の取捨選択もできるが、初心者の人には難しい。
実際俺もトレーニング始めたての時期にSNSで見たかっこいい種目にチャレンジした結果、肩を痛めて半年ほど満足のいくトレーニングができなかった事もある。
こういう事もあり、筋トレ初心者の人には、まずは基礎となる種目(BIG3など)を練習し、そこから自分に合ったトレーニングをYouTubeやSNSで探すことをおすすめする。
有名トレーナーのメニューは良いのか

有名トレーナーの「直接指導」、いわゆるパーソナルトレーニングであれば、個人の身長や体格、経験などに基づいてメニューを考案してくれるので問題ない。しかし、オンラインレッスンやSNSとなると、これも注意が必要だ。
オンラインも1対1であれば細かい部分まで見ることが可能だが、数人〜数十人となると、大衆向けのトレーニングになりがちなので、結果「個別性の原則」が軽視されやすくなってしまう。
有名トレーナーといえど、しっかり自分と向き合ってくれるかどうかを判断しないといけない。
筋肉がつきやすい人、つきにくい人がいるのはなぜ?

「同じトレーニングをしているのに、筋肉のつき方に差が出る」という経験をしたことがある人も多いのではないだろうか。
これは、遺伝・筋繊維の種類・ホルモンバランス・代謝・栄養状態など、さまざまな要因が影響しているからである。
ここでは、筋肉がつきやすい人とつきにくい人の違いを科学的に解説していく。
体質や遺伝がどのように影響するのか
1. 遺伝的な要因
筋肉は 「速筋(タイプII)」と「遅筋(タイプI)」 という2つの繊維で構成されている。この2つのタイプの割合によって、筋肉がつきやすい・つきにくいが分かれるのである。
速筋タイプ・遅筋タイプ
・速筋が多い人 → 高重量のトレーニングに
適応しやすく、筋肉がつき
やすい
・遅筋が多い人 → 持久力が高く、筋肥大
しにくい(代わりに長時間
の運動に強い)
このように、遺伝的に速筋の割合が多い人ほど、筋肥大しやすい傾向にある。
これは余談だが、筋肉をつけたい男性ほど「自分、遅筋タイプだんですよぉ」と言う。しかし、よくよく聞くと食事量が足りていないだけだったりする。逆も然りで、女性ほど「すぐ筋肉がついちゃう」とか言う。筋トレ半年続けてから言うてくれ。
2. ホルモンバランス
筋肉の成長に影響するホルモン(テストステロンと成長ホルモン)、これらの分泌量の差も筋肉のつきやすさに影響する。
ホルモンの分泌量
筋肉がつきやすい人の特徴
・テストステロンの分泌量が多い(特に男性)
→ 筋肥大しやすい
・成長ホルモンの分泌が活発(10代~20代)
→ 回復と成長が速い
筋肉がつきにくい人の特徴
・テストステロンの分泌が少ない
(女性や高齢者)
→ 筋肥大しにくい
・成長ホルモンの分泌が少ない(40代以降)
→ 回復が遅く、筋肉がつきにくい
3. 代謝の違い(カロリー消費)
一般的には、基礎代謝や消費カロリーが多い人は筋肉がつきにくい。これは、「=太りにくい」とも言える。
- 基礎代謝が高い人 → エネルギー消費が速いため、筋肉の合成が追いつかない
- 基礎代謝が低い人 → 筋肉がつきやすく、太りやすい傾向がある
体質的に筋肉がつきにくい人は、しっかりカロリーを摂取することが重要である。
4. 栄養摂取の違い
これは以前にも記事にしたが、栄養が偏っていたり、不足していると、当然ながら筋肉は成長しない。
下記に、筋肉がつかない人の食事の特徴と改善策の一例をまとめたので参考にしてほしい。
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5. トレーニング方法の違い
(負荷・回数・ボリューム)
筋肉がつきにくい人を見ていて思うのが、負荷や追い込みが足りていないという事。
筋肉がつきやすい人ほど、高負荷、高重量でトレーニングをしているし、常に限界まで追い込んでいる。前回の自分を少しでも越えようとしているのだ。
令和の時代に根性論と思うかもしれないが、その根性こそが最後の一発を挙げる場面で大切になってくる。
その積み重ねが、筋肉の成長へと繋がる。
6. 睡眠・回復の違い
(筋肉は寝ている間に成長する)
筋肉は「休んでいる間」に成長する。筋トレをした後は、しっかり休息を取らなければ、筋肉の成長は妨げられてしまう。
睡眠の質を改善するのに役立ったグッズの紹介はこちらの記事にまとめてあるので、興味がある人はぜひ。
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初心者と上級者ではトレーニング方法を変えるべきか

筋トレにおいて、初心者と上級者の明確な線引きがないため判断が難しい。なので、ここでは分かりやすく期間で初心者、中級者、上級者と分けさせてもらう。
初心者はどのように始めて、成長したらどう変えていけばいいのか
経験別トレーニング方法
初心者(0~6か月目)
・フォーム習得が最優先
(軽めの重量で正しい動作を身につける)
・全身を鍛えるメニューが効果的
(コンパウンド種目を中心に)
・回復を優先し、週3~4回の頻度で実施
中級者(6か月~2年目)
・分割法を取り入れ、部位ごとに重点的に
鍛える
・重量を少しずつ増やし、過負荷の原則を意識
・栄養・休養の管理を強化し、成長を
加速させる
上級者(2年以上)
・個々の弱点を補うメニューを作成
・神経系の発達を意識し、より高度な
トレーニングを導入
・回復を最大限に活かすため、期間ごとの調整
(ピリオダイゼーション)を行う
初心者が上級者のメニューをそのまま真似すると、効果が出にくいだけでなく、怪我のリスクも高い。
トレーニングを初めて1年でも、月に1度のトレーニングでは中級者とは言えないし、3ヶ月目の初心者でもフォームをマスターし、分割法で回せているなら中級者と言えるだろう。
期間はあくまで目安と捉えてほしい。
男性と女性でトレーニング方法は違うのか
基本的なトレーニング原則は男女共通。しかし、ホルモン・代謝・筋肉の発達の違いを考慮し、効果的な方法を選ぶことが重要である。
男性と女性では、ホルモンバランス・筋肉のつき方・体脂肪率・代謝の違いがある。そのため、トレーニングの目的(筋肥大・引き締め・体力向上)に応じた調整を行うと、より効率的に成果を出せる。
ホルモンの影響について
ホルモンは、筋肉の成長や脂肪燃焼に大きく関わる。特に 「テストステロン」(男性ホルモン)と 「エストロゲン」(女性ホルモン)の違いが、トレーニング効果に影響を与える。
ホルモン | 役割 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
テストステロン(男性ホルモン) | 筋肉の合成・骨密度の向上・脂肪燃焼 | 高い(筋肉がつきやすい) | 低い(筋肥大しにくい) |
エストロゲン(女性ホルモン) | 体脂肪の蓄積・関節の保護 | 低い | 高い(体脂肪がつきやすい) |
成長ホルモン | 筋肉の修復・代謝の促進 | ある程度高い | 比較的高め(筋肉の回復に有利) |
代謝の影響について
男性は基礎代謝が高く、脂肪は燃えやすい傾向にある。逆に女性は皮下脂肪を蓄積しやすい傾向にある。これは、上でも述べたように、ホルモンの分泌量の差が影響している。
項目 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
基礎代謝 | 高い(筋肉量が多い) | 低い(筋肉量が少ない) |
筋肉量 | 多い(エネルギー消費が多い) | 少ない(消費エネルギーが低い) |
脂肪燃焼 | テストステロンの影響で燃焼しやすい | 皮下脂肪を蓄積しやすく、燃焼しにくい |
成長が遅いと感じたら、どう対策すればいい?

トレーニングを続けていると、多くの人が
「最初は順調に成長したのに、最近は筋肉がつかない…」
「重量が伸びない…」
「体型が変わらなくなった」
といった 「停滞期(プラトー)」を経験する。
この停滞期を乗り越えるためには、トレーニング・栄養・回復の見直し が必要である。
伸び悩みを感じたときの改善方法
1. 負荷が足りていない
「今のトレーニングが楽に感じる…」という人は、負荷が足りていない可能性ある。
筋肉を成長させるためには、以前に紹介した「過負荷の原理」が重要。つまり、筋肉に常に新しい刺激を与え続けることが必要である。
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2. 種目がマンネリ化している
「いつも同じメニューをやっている」という人は、新しい刺激を与えるべきである。同じトレーニングばかりでは、筋肉が刺激に慣れてしまい、成長が止まる可能性があるからだ。
「特異性の原理」を活かして、マンネリを打破しないといけない。
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「なんとなく筋トレ」は卒業!「特異性の原理」を活かしたメニューの組み方
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3. その他
これまで紹介してきた原理原則以外にも、食事が疎かになっていないか、睡眠や休養は十分に取れているかなど、いろんな角度から見直すことで、再び成長を感じられるようになる。
まとめ
「個別性の原則」をまとめると、
「同じことやってても個人差があるねん。」
ということだ。
身長が低い人は体の厚みが出やすいし、遅筋繊維の割合が多い人は持久系の種目が得意だったりする。
同じような見た目でも、効果が出るまでに時間を要する場合もあるので、他人と比較せず、過去の自分と比較し少しでも成長できるように取り組んでほしい。
同じように見える白色も200色あるみたいやし。