
筋トレ「3原理・5原則」のうち、ここまで「過負荷の原理」「特異性の原理」について解説してきた。
今回は3原理の3つ目、「可逆性の原理」について解説していく。

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可逆性の原理とは

可逆性の原理(Reversibility Principle) とは、トレーニングをやめると、得られた効果が徐々に失われていくという事だ。
つまり、「せっかく鍛えた筋肉や体力も、使わなければ元に戻ってしまう」という現象のことである。
なぜ筋トレをやめると筋肉が落ちるのか
筋肉は使われている限り、その負荷に耐えようとして成長する。しかし、負荷がかからない状態が長く続くと、たくさん筋肉をつけていても仕方がないので減っていく。
また、筋肉が多いということは、それだけエネルギーも必要になるため、体にとっても都合が悪い。
そのため、負荷がかからなくなると、不必要な筋肉は分解されてしまう。
どれくらいの期間で落ちるのか

トレーニングを休むと、「筋力」「筋持久力」「心肺機能」 は、それぞれ異なるスピードで低下していく。
完全に運動をやめた場合 の影響を、以下の3つの観点から解説していく。
筋力の低下スピード
筋力(ウエイトトレーニングや瞬発力を必要とするスポーツの能力)は 比較的ゆっくりと低下する。
ただし、トレーニングを完全にやめると、筋肉は少しずつ縮小(筋萎縮)し、パフォーマンスも落ちていく。
休養期間 | 筋力の低下レベル |
---|---|
1週間以内 | ほぼ影響なし (超回復が進む場合も) |
2〜3週間 | 5~10%程度の低下 |
4週間 | 10~20%の低下が見られる |
2〜3ヶ月 | 30~40%低下 (初心者は特に影響大) |
6ヶ月以上 | ほぼトレーニング前の状態に戻る |
2週間以上の休養から徐々に筋力は低下していき、半年ほどでほぼトレーニング前に戻ってしまう。
筋力を5%上昇させるためには相当の期間が必要なことを考えると、やはり筋トレは継続が大事ということがわかる。
余談ではあるが、昨年俺は資格試験勉強のため、試験前最後の1ヶ月は全く筋トレをしなかった。
試験後に筋トレを再開すると、筋力がだいぶ落ちているのを肌で感じた。
試験から4ヶ月経ち、筋トレも再開しているが、いまだに当時の重量まで戻っていない。
筋持久力の低下スピード
筋持久力(軽~中重量で高回数の筋トレを続ける能力)は、筋力に比べて早く低下する。
休養期間 | 筋持久力の低下レベル |
---|---|
1週間 | ほぼ影響なし (超回復が進む場合も) |
2週間 | 10~15%の低下が始まる |
4週間 | 20~30%低下 |
2ヶ月以上 | 50%以上低下する可能性 |
大人(特に社会人)になると、筋持久力が必要な場面や発揮する機会というのが極端に減る。
ジムでのトレーニングは、高重量だけでなく、低重量 × 高回数の種目も取り入れた方が良い。
低重量 × 高回数のメニュー例はこちらの記事を参考↓
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心肺機能(持久力)の低下スピード(有酸素運動)
有酸素運動(ランニング・サイクリング・水泳など)による心肺機能は、筋力や筋持久力に比べて最も早く低下する。
これは、酸素を運搬する赤血球や心肺機能の適応が短期間でリセットされるためである。
休養期間 | 持久力の低下レベル |
---|---|
1週間 | 5%低下 |
2週間 | 10~15%低下 |
4週間 | 15~20%低下 |
2ヶ月以上 | 30~40%低下 (パフォーマンスが大きく落ちる) |
先ほどの「筋持久力」よりも、さらに顕著に衰えを感じるであろう「心肺機能の持久力低下」。
社会人になってから「走る」という運動が極端に減り、結果、駅の階段を昇だけでも息が上がるということに。
こちらは筋トレ以上に継続を意識しないと低下する。
マッスルメモリーについて

筋力・筋持久力・心肺機能(持久力)、3つの中でトレーニングを再開すれば、比較的早く回復できるのが「筋力」である。
これは、「マッスルメモリー」 という現象が関係している。
筋トレを3年ぶりに再開し、当時のベンチプレスのMAX140kgをたった1年半で再び挙げられるようになった。
これは俺の知り合いの話なんだけど、まさしく「マッスルメモリー」のおかげ。
個人差はあれど、筋肉が一度負荷を覚えれば、再開した際に当時の負荷を思い出し、適応しようとするわけだ。
可逆性の原理を防ぐ方法

【結論】長期間休まなければ大丈夫
休んだ後に復帰するときの注意点

短期間の休養であれば問題ないが、長期間の休養明けの場合は注意が必要。
体が当時の負荷を思い出し適応するまでは、負荷やメニューを軽めで行う。そうすることで、再度フォームを固めたり、怪我の予防に繋げられる。
元に戻るまでの期間

もし、やむを得ず休養を強いられた場合、どれくらいの期間で元に戻るのかをわかりやすくまとめた。
仕事や育児でトレーニングをする時間が確保できない人も、この表を参考に、焦らずできる範囲から再開してほしい。
元に戻る目安
筋力の低下
・2~3週間で5~10%低下、1か月で10~20%低下
・再開すれば2~4週間でほぼ元に戻る
(マッスルメモリーあり)
筋持久力の低下
・2週間で低下が始まり、1か月で20~30%低下
・回復には3~5週間ほどかかる
有酸素運動(持久力)の低下
・1週間で5%低下、1か月で15~20%低下
(最も早く落ちる)
・回復には4~6週間かかる
まとめ
今回は3原理・5原則のうちの一つ、「可逆性の原理」について解説してきた。
トレーニングは継続できるのが一番だが、怪我や仕事などでどうしても休養を強いられる場合がある。そんな時は焦ってもしょうがない。(2回目)
再開した時に、今回解説した原理の他に紹介している「原理原則」を意識しながらトレーニングをしていくと、早く当時の負荷をまた扱えるようになる。
周りと比較せず、前回の自分を超える気持ちで取り組んでほしい。
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