トレーニング理論 筋トレ

筋肉はどれくらいで落ちる?「可逆性の原理」を防ぐには?

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筋トレ「3原理・5原則」のうち、ここまで「過負荷の原理」「特異性の原理」について解説してきた。

今回は3原理の3つ目、「可逆性の原理」について解説していく。

3原理・5原則

3原理
 ・過負荷の原理
 ・特異性の原理
 
・可逆性の原理 ← 今回の記事

5原則
 ・全面性の原則
 ・個別性の原則

 ・意識性の原則
 ・漸進性の原則
 ・反復性の原則

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可逆性の原理とは

可逆性の原理(Reversibility Principle) とは、トレーニングをやめると、得られた効果が徐々に失われていくという事だ。

つまり、「せっかく鍛えた筋肉や体力も、使わなければ元に戻ってしまう」という現象のことである。

なぜ筋トレをやめると筋肉が落ちるのか

筋肉は使われている限り、その負荷に耐えようとして成長する。しかし、負荷がかからない状態が長く続くと、たくさん筋肉をつけていても仕方がないので減っていく。

また、筋肉が多いということは、それだけエネルギーも必要になるため、体にとっても都合が悪い。

そのため、負荷がかからなくなると、不必要な筋肉は分解されてしまう。

どれくらいの期間で落ちるの

衰えた老人

トレーニングを休むと、「筋力」「筋持久力」「心肺機能」 は、それぞれ異なるスピードで低下していく。
完全に運動をやめた場合 の影響を、以下の3つの観点から解説していく。

筋力の低下スピード

筋力(ウエイトトレーニングや瞬発力を必要とするスポーツの能力)は 比較的ゆっくりと低下する。
ただし、トレーニングを完全にやめると、筋肉は少しずつ縮小(筋萎縮)し、パフォーマンスも落ちていく。

休養期間筋力の低下レベル
1週間以内ほぼ影響なし
(超回復が進む場合も)
2〜3週間5~10%程度の低下
4週間10~20%の低下が見られる
2〜3ヶ月30~40%低下
(初心者は特に影響大)
6ヶ月以上ほぼトレーニング前の状態に戻る

2週間以上の休養から徐々に筋力は低下していき、半年ほどでほぼトレーニング前に戻ってしまう。

筋力を5%上昇させるためには相当の期間が必要なことを考えると、やはり筋トレは継続が大事ということがわかる。

ポイント

・1週間以内の休みは問題なし。むしろ超回復で
 筋力が向上することもある。
・2~3週間で「少し筋力が落ちた」と
 感じる程度。
・1か月以上休むと、明らかに
 扱える重量が減る。
初心者ほど、休んだときの影響が大きい。
(トレーニング歴が長い人は筋力を維持しやすい)

余談ではあるが、昨年俺は資格試験勉強のため、試験前最後の1ヶ月は全く筋トレをしなかった。

試験後に筋トレを再開すると、筋力がだいぶ落ちているのを肌で感じた。

試験から4ヶ月経ち、筋トレも再開しているが、いまだに当時の重量まで戻っていない。

筋持久力の低下スピード

筋持久力(軽~中重量で高回数の筋トレを続ける能力)は、筋力に比べて早く低下する。

休養期間筋持久力の低下レベル
1週間ほぼ影響なし
(超回復が進む場合も)
2週間10~15%の低下が始まる
4週間20~30%低下
2ヶ月以上50%以上低下する可能性

ポイント

・筋持久力は「使わないとすぐに落ちる」
 ため、トレーニングを継続することが重要。
・2週間以内ならさほど心配はないが、
 1か月以上休むと大きく低下する。

大人(特に社会人)になると、筋持久力が必要な場面や発揮する機会というのが極端に減る。

ジムでのトレーニングは、高重量だけでなく、低重量 × 高回数の種目も取り入れた方が良い。

低重量 × 高回数のメニュー例はこちらの記事を参考↓

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心肺機能(持久力)の低下スピード(有酸素運動)

有酸素運動(ランニング・サイクリング・水泳など)による心肺機能は、筋力や筋持久力に比べて最も早く低下する。
これは、酸素を運搬する赤血球や心肺機能の適応が短期間でリセットされるためである。

休養期間持久力の低下レベル
1週間5%低下
2週間10~15%低下
4週間15~20%低下
2ヶ月以上30~40%低下
(パフォーマンスが大きく落ちる)

ポイント

・たった 1週間の休養 でも、
 有酸素能力は低下し始める。
・1か月の休養で持久力は 15~20% も
 落ちる可能性がある。
・マラソンやトライアスロンなど、持久力が
 重要な競技では 継続的なトレーニングが
 不可欠

先ほどの「筋持久力」よりも、さらに顕著に衰えを感じるであろう「心肺機能の持久力低下」。

社会人になってから「走る」という運動が極端に減り、結果、駅の階段を昇だけでも息が上がるということに。

こちらは筋トレ以上に継続を意識しないと低下する。

マッスルメモリーについて

メモリーカード
USBメモリー

筋力・筋持久力・心肺機能(持久力)、3つの中でトレーニングを再開すれば、比較的早く回復できるのが「筋力」である。
これは、「マッスルメモリー」 という現象が関係している。

マッスルメモリーとは

以前鍛えていた人は、一度筋肉が落ちても、再開すればすぐに元のレベルに戻れるという現象のこと。

筋トレを3年ぶりに再開し、当時のベンチプレスのMAX140kgをたった1年半で再び挙げられるようになった。
これは俺の知り合いの話なんだけど、まさしく「マッスルメモリー」のおかげ。

個人差はあれど、筋肉が一度負荷を覚えれば、再開した際に当時の負荷を思い出し、適応しようとするわけだ。

可逆性の原理を防ぐ方法

STOP ストップ 止める 防ぐ

【結論】長期間休まなければ大丈夫

ポイント

✔ 1~2週間の休みなら問題なし
 (むしろ回復効果が期待できる)
✔ 1か月以上休むと低下が目立つが、
  再開すれば2~4週間で回復できる。
✔ 「マッスルメモリー」により、
  過去に鍛えていた人は回復が早い
✔ 有酸素能力はすぐに落ちるので、
  少しでも継続することが大切

休んだ後に復帰するときの注意点

注意エリア

短期間の休養であれば問題ないが、長期間の休養明けの場合は注意が必要。

体が当時の負荷を思い出し適応するまでは、負荷やメニューを軽めで行う。そうすることで、再度フォームを固めたり、怪我の予防に繋げられる。

元に戻るまでの期間

筋トレをしている男性

もし、やむを得ず休養を強いられた場合、どれくらいの期間で元に戻るのかをわかりやすくまとめた。

仕事や育児でトレーニングをする時間が確保できない人も、この表を参考に、焦らずできる範囲から再開してほしい。

元に戻る目安

筋力の低下
・2~3週間で5~10%低下、1か月で10~20%低下
・再開すれば2~4週間でほぼ元に戻る
 (マッスルメモリーあり)

筋持久力の低下
・2週間で低下が始まり、1か月で20~30%低下
・回復には3~5週間ほどかかる

有酸素運動(持久力)の低下
・1週間で5%低下、1か月で15~20%低下
 (最も早く落ちる)
・回復には4~6週間かかる

まとめ

今回は3原理・5原則のうちの一つ、「可逆性の原理」について解説してきた。
トレーニングは継続できるのが一番だが、怪我や仕事などでどうしても休養を強いられる場合がある。そんな時は焦ってもしょうがない。(2回目)

再開した時に、今回解説した原理の他に紹介している「原理原則」を意識しながらトレーニングをしていくと、早く当時の負荷をまた扱えるようになる。

周りと比較せず、前回の自分を超える気持ちで取り組んでほしい。

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  • この記事を書いた人

クレヨン

関西出身。元アスリートの経験を活かすべく、パーソナルトレーナーに。 トレーナー歴10年。 2025年からは不動産業も開始。 「水曜どうでしょう」が好きなのでこのサイトタイトルに。

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