
筋肉をつける、筋力を向上させる。
そのためには少しずつ負荷を足していくことが大事と言うのは「過負荷の原理」の解説で話したんだけれども、それと似ているようで異なるのが、今回紹介する
「漸進性の原則」である。
筋トレ界隈では、これら二つをまとめて「漸進性過負荷の原則」と言ったりもする。
「近頃、成長を感じない...」
「いつも同じ重さでやってるけど、これでいいの?」
「負荷を上げるペースはどれくらい?」
こういった悩みを今日は解決していく。
「過負荷の原理」の記事はこちら
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目次(クリックでジャンプ)
「漸進性の原則」とは

漸進性の原則(Principle of Progressive Overload) とは、トレーニングの負荷を少しずつ増やしていくことで、筋力や持久力を向上させる原則のことである。
毎回同じメニューや重量だと、筋肉や神経は同じ負荷に適応しきってしまい、成長が止まる。いわゆる「停滞期(プラトー)」ってやつだ。
停滞期を越えるためには、徐々に負荷を増やすことが重要である。
なぜ負荷を増やさないと成長しないのか
筋肉に負荷をかけると、その負荷に負けないように成長しようとする。しかし、毎回同じ負荷だと、筋肉がそれ以上の負荷はかかってこないと判断し、成長をストップしてしまう。
「ずっと同じトレーニングでは成長しない」
「負荷を増やすことが必要」
負荷を増やす方法

負荷を増やすうえで最も分かりやすいのが、重量を増やすことだろう。
例えばベンチプレスを30kgで10回やったとする。すると、次回は32.5kgで10回を目指すといった感じだ。
こうして少しづつ重量を上げていくことで、筋肉は常に強い負荷に耐えようとして成長を続ける。
重量を増やす以外の方法
「負荷を上げる=重量を増やす」だけではない。
重量は同じでも、回数やセット数を増やす。休憩時間(インターバル)を短くする。トレーニングに慣れてくれば、動作をあえてゆっくり行う(TUT)やり方で筋肉への意識を高めて負荷を上げるやり方もある。
つまり、負荷を上げると一口に言っても、その方法は様々である。
そしてこれらの方法は、複数組み合わせる事で、より効果を発揮する。
負荷を増やすペースは

ただ単に負荷を増やすことだけを意識してしまうと、知らず知らずの内にフォームが崩れていたり、対象筋以外に負荷が入っていたりするので、少しづつ、かつ計画的に増やしていくのが良い。
下記はトレーニング初級〜上級までの負荷を増やすペースの目安を記したので参考にしてほしい。
負荷を増やす目安
一般的な目安(初心者・中級者向け)
・1週間ごとに2.5~5%重量を増やす
・または 「1回多くできたら次回は重量UP」
というルールを作る
初心者(最初の6か月)
・週ごとに 2.5~5kg増やしてOK
(伸びやすい時期)
・1~2週間ごとに回数を1~2回増やす
中級者(6か月~2年)
・1~2週間ごとに 1.25~2.5kg増やす
・回数が増えてきたら、次の重量に進む
上級者(2年以上)
・重量を上げるペースが遅くなるので、
回数・セット数などバリエーションも
工夫する
大事なのは「成長を感じなくなったら、負荷の上げ方を調整する」と言うことだ。重量が伸びなくなったら回数を伸ばしにかかる。回数も伸びなくなったら、セット数を増やすなど、総合的に負荷を増やすイメージでOK。
セットごと?週ごと?
負荷の増やし方に関して、1セット毎に増やした方が良いのか、1週間毎に増やした方が良いのかという質問をたまに受ける。これに関しては正直どちらでも良い。自分の合っている伸ばし方で大丈夫。
俺個人は一週間毎に増やすのが好きなのでそうしているが、たまにセット毎に増やしたりと、刺激(負荷)の入れ方を変えるようにしたりもする。
「漸進性の原則」と「過負荷の原理」の違い

ここで前回の記事で紹介した「過負荷の原理」との違いを解説しておく。
この2つは似ているが、微妙に違う。
「過負荷の原理」が筋肉を成長させるための大前提であり、「漸進性の原則」はその負荷をどのように増やしていくかを示したものである。
正直細かい部分なので、あまり深く考える必要はない。
大事なのは、知識を得るよりも、その得た知識を実践する方が大事だ。
「過負荷の原理」のおさらい
筋肉を成長させるためには 「今の能力より強い負荷(ストレス)」をかける必要があるという基本的なルール。
「筋肉は負荷がかかることで成長する」 という基本的な原則。つまり、「軽すぎる負荷では筋肉は成長しない!」 ということである。
具体的には
・5kgのダンベルでアームカールをしても負荷が
足りない場合、筋肉は成長しない。
・スクワットで普段と同じ重量・回数で
やり続けても、刺激が弱すぎて成長しない。
つまり、「今の筋力以上の負荷をかけることが、筋肉成長の第一条件」。これが「過負荷の原理」である。
大丈夫。俺もついていけていない。
「漸進性の原則」
その負荷を 「少しずつ」増やしていくことで、継続的に成長できる という実践方法のこと。
過負荷をかけるために、「負荷を少しずつ増やしていくことが大切」 という考え方。
「一気に重すぎる負荷をかけると怪我をするため、段階的にレベルを上げていこう」というルールである。
具体的には、
・40kgのスクワットをやっていた人が、次回は
42.5kg、次は45kgと、少しずつ負荷を上げて
いく。
・ベンチプレスで同じ重量が簡単に上がるように
なったら、2.5kgずつ増やしていく。
つまり、「一気に負荷を上げるのではなく、段階的に強くしていくことで、安全に筋力UP」ということである。
噛み砕いて説明
これ以上の説明が思いつかない。申し訳ない。
初心者向けメニューの紹介

ここでは初心者向けにBIG3をベースとしたメニューを組んでみた。
以前にも説明したように、上半身は「2.5kg刻み」、下半身は「10kg刻み」で重量を増やしているが、ここの上げ幅はそれぞれで設定してもらって構わない。
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種目 | 初回 | 2週目 | 3週目 |
---|---|---|---|
スクワット | 40kg × 10回 | 50kg × 10回 | 60kg × 10回 |
ベンチプレス | 30kg × 10回 | 32.5kg × 10回 | 35kg × 10回 |
デッドリフト | 50kg × 10回 | 60kg × 10回 | 70kg × 10回 |
負荷を増やしているのに成長しない

ここまで「負荷を増やすことが筋肉の成長につながる」と言ってきた。しかし中には「負荷を増やしているのに成長しない」という人もいるだろう。
重量、回数、セット数、インターバル...、あらゆる負荷を上げているのに成長しない。
こういった場合、「漸進性の原則」を含む原理原則の前段階がおざなりになっている可能性がある。それは何かというと、
「食事管理」や「睡眠」である。
ある程度トレーニングが好きになりつつある初心者に多いんだけど、この原理原則に興味を持ち始めると、その前にできていた基本の「食事管理」や「睡眠」を軽視し始める。
おさらいになるが、体(筋肉)は食べた物でできているし、鍛えた筋肉は回復によって成長する。(超回復)
鍛えることにばかり目が行きがちで、その前に大事な部分が見えなくなってしまう。(俺のこと)
重量が伸びないときの対策

上にも書いたが、重量はいつか必ず伸びなくなる時期がやってくる。(停滞期)
これを打破するためには、伸ばす負荷を重量ではなく、回数やセット数にシフトする。また、種目の順番を変えるのもおすすめだ。
毎回ベンチプレスから入っていたのなら、ダンベルフライを1種目めに持ってくる。すると、今まで扱ったことのない重量が扱えたりする。
こんな感じで、重量以外の部分を伸ばしたり、重量を伸ばす種目を変えたりすることで、最終的には伸ばしたい種目が伸びるという算段だ。
ちなみに俺はベンチプレスの重量が伸びなくなると、ダンベルプレスを伸ばしにかかる。すると面白いくらい扱える重量が上がる。
有酸素運動でも「漸進性の原則」は適用されるのか

結論、「漸進性の原則」は 筋トレだけでなく、有酸素運動にも適用可能である。
有酸素運動でも 負荷を少しずつ増やしていくことで、心肺機能や持久力が向上し、より効率的に脂肪燃焼や体力向上ができる。
逆に、ずっと同じ強度の運動を続けていると、体が適応し、効果が停滞してしまうこともあります。
ウォーキングやランニングも負荷を増やすべきか
ウォーキングやランニングも筋トレと同様、負荷を少しづつ増やすべきである。
しかし、筋トレと違って重量や回数を増やすというのは現実的ではない。(やろうと思えば可能。)
ここでは有酸素運動における「漸進性の原則」を意識した、負荷を増やす具体例を5つ紹介する。
まとめ

「過負荷の原理」と似ている「漸進性の原則」。あまり深くは考えず、「前回よりも少しだけ負荷をあげる」意識で取り組めば大丈夫だ。
筋トレにハマれば、自ずと重量に対する欲は出てくるし、楽しいと思える種目やマシンは伸びていく。
たくさん食べて、たくさん寝て、たくさん重いものを押して、引いて、蹴って。
筋トレは突き詰めていくとすごく複雑なので、シンプルに考えてくれれば良い。
ただし、くれぐれも怪我にはきをつけて。