
サイコロの旅企画第3弾「鹿児島編」
その2
サイコロの旅「鹿児島編」。
前回の天文館むじゃき編に続く今回は、「知覧特攻平和会館」。
第二次世界大戦の末期に編成された特攻隊の資料や戦闘機を中心に展示されているこの施設。
戦争の惨さを肌で感じてきたから、できる限りレビューしていく。


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目次(クリックでジャンプ)
知覧特攻平和会館とは

そもそも知覧特攻平和会館ってなに?ってところからなんだけど、ここは戦争の特攻隊に関する資料や実際の戦闘機なんかが展示されている場所なんだ。
特攻隊員の遺品や家族に当てた最後の手紙などが展示されている。
中には血の付いたハチマキや手紙、制服なんかも展示されており、戦争の惨さがひしひしと伝わってくる施設となっている。
知覧という場所
知覧(ちらん)とは、現在の鹿児島県南九州市のこと。
1939年〜1945年の間に起こった第二次世界大戦(日本が負けたやつ)の末期、沖縄戦での劣勢を一気に挽回するために編成された特攻隊の基地として利用されていた土地なんだ。
特攻隊への招集を意味する赤紙を受け取った16〜25歳前後の男性が、特攻に向かうまでの最後のひと時を過ごした場所となっている。
知覧特攻平和会館の所在地・アクセス・料金
| 住所 | 〒897-0302 鹿児島県南九州市 知覧町郡17881番地 |
| 電話 ファックス | 0993-83-2525 0993-83-4859 |
| アクセス (鹿児島中央駅から) | 路線バスのりば「東16乗場」から知覧行きバスに乗車し、バス停「特攻観音入口」で下車後、徒歩約5分。 |
| 定休日 | 年中無休 |
| 開館時間 | 9:00〜17:00(入館は16:30まで) |
| 入館料 ミュージアム共通券 | 大人500円、小人300円 大人600円、小人400円 |
| 写真、動画撮影 | 一部を除き不可 |
一式戦闘機「隼」がお出迎え

知覧特攻平和会館に着くとまず、一式戦闘機「隼」がお出迎え。
これは本物ではなく忠実に再現したレプリカではあるんだけど、それでも細部の細かさや、機体のサイズ感に度肝を抜かれた。
やはり映像で見るのと実際のサイズを見るのとでは迫力が全く違う。




特攻勇士の像とT-3機
一式戦闘機「隼」のすぐ近くには、特攻兵の初等訓練で使用された機体「T-3」と、特攻勇士の像が展示されている。
特攻勇士の像「とこしえに」

1974年(昭和49年)に建立された特攻勇士の像。
横には「とこしえに」の由来が書かれた石碑も。

特攻機は、遂に帰って来ませんでした。
国を思い、父母を思い、永遠の平和を願いながら、勇士は征ったにちがいありません。特攻像「とこしえに」は、全国の心ある人々によって建てられました。
み霊のとこしえに安らかならんことを祈りつゝ
りりしい姿を永遠に伝えたい心をこめて
あゝ
開聞の南に消えた勇士よ制作 日展審査員 伊藤五百亀先生
知覧特攻平和会館
除幕 昭和49年5月3日
建設 知覧特攻慰霊顕彰会
T-3機

特攻兵としての招集を受けた男子訓練生はまず、この初頭訓練機で練習する。
そして出撃日が決まると、最後の数日を後述する三角兵舎で過ごした後、特攻用の機体へと乗り込み沖縄に向かうんだ。
訓練機は後ろに2名乗りで教官と一緒に搭乗する。

T-3機の構造・性能
| 全幅 | 10.00m |
| 全長 | 8.04m |
| 全高 | 3.02m |
| 自重 | 1.136kg |
| 最高速度 | 360km/h |
| 上昇限度 | 8,200m |
| 航続距離 | 1,000km |

知覧特攻平和会館本館

隼やT-3、特攻勇士の像を見ながら進んでいくと、知覧特攻平和会館の入り口に着く。
ここからいよいよ戦争の惨さを肌で感じていくんだけど、残念ながら館内のほとんどが撮影不可なんだ。
だから、ここからは俺が感じた館内の様子をレビューしていく。
特攻兵が家族に宛てた遺書
中に入ってまず驚いたのが、特攻兵が残された家族に宛てて書いた遺書の数々。
知覧基地から出撃し、亡くなられた特攻兵は400人以上とされているんだけど、その特攻兵の遺書の数がものすごいんだ。
しかも保存状態がめちゃくちゃ良くて、ちゃんと読めるものもたくさんあるんだ。
だからこそ、「一人一人に家族がいたこと」「最後の数日、あるいは敵艦にぶつかる直前に思ったこと、目に映った光景」、そんなことを想像すると胸が自然と重苦しくなるんだ。
「特攻隊」と一括りに言っても、誰一人として同じ人生はなく、それぞれやりたい事や夢があったに違いない。
中には元プロ野球選手の特攻兵なんかもいたりした。
そんな想いを簡単に踏みちぎる戦争はやっぱり酷い。
酷いのに、その戦争のおかげで、今の自分がいる事も痛感させられる。
とにかくこの遺書の数々を見ていると、考えさせられる。
引き揚げられた戦闘機

知覧特攻平和会館の中でも一際目を引くのがこれ。
鹿児島県甑島沖で沈んでいた海軍の零式艦上戦闘機、いわゆる「零戦(ゼロセン)」ってやつだ。
この零戦は1945年(昭和20年)の5月に出撃したが、エンジントラブルを起こし甑島沖に沈んでいった海軍の零式艦上戦闘機なんだ。
以来35年間、海底に沈んでいた。
そして1980年(昭和55年)に引き揚げられて以降、当時の状態のまま保存されている。

機体自体は腐食しているが、コックピットや機体の部品は、原型を留めている。
特に爆弾や機銃といった兵器類は腐食してもなお存在感があった。









最後の数日を過ごす三角兵舎

出撃日の決まった特攻兵が最後の数日を過ごす「三角兵舎」。
敵軍に見つからないよう、半地下のような造りとなっている。

ここを出たらいよいよ。
後は敵艦にアタックするだけ。
想像するだけでもゾッとするのに、実際にここでの数日を過ごした特攻兵たちはその比ではないだろう。
自らを奮い立たせるために陽気に振る舞う者、歌う者、家族に手紙を書く者と過ごし方は様々だったらしい。
そして夜になると布団の中から啜り泣く声が聞こえたという。
あと何時間後かには必ず死ぬとわかると、いくら日本や大切な人を守るためとはいえ、その恐怖心はとてつもなかっただろう。



三角兵舎
三角兵舎は特攻隊員の宿舎でありました。敵の目を欺くため、松林の中に半地下壕をつくり、屋根には杉の幼木をかぶせ擬装してありました。
各地から集まった隊員は二〜三日後には雲のかなた沖縄の空に散華されました。出撃の前夜は、この三角兵舎で壮行会が催され、酒を汲みかわしながら隊歌をうたい、薄暗い裸電球の下で遺書を書き、また別れの手紙等をしたためて、出撃して往ったのです。
ここに三角兵舎を復元し当時をしのぶよがとするものであります。
三角兵舎

特攻の母「鳥濱トメさん」

そんな特攻兵の最後を料理で支えた人がいるんだ。
富屋食堂の鳥濱トメさんだ。
トメさんは数日後には出撃する特攻兵が最後に食べたい料理を聞き、振る舞ったという。
「椎茸の入った玉子焼き」「大根の入った味噌汁」など、どんな要望にも応えた。
戦争末期になり、資金も乏しかったトメさんは、自分の着物を売ってでも特攻兵の要望に応えた。
そんな特攻の母、鳥濱トメさんが営んだ富屋食堂は現在、建物を再現して資料館としてその軌跡を後世に伝えている。

中は決して広くはないが、特攻兵たちが和気あいあいと戯れる写真や、トメさんのエピソードがあったりと充実した資料館だった。
ホタル館「富屋食堂」へのアクセス・料金
| 住所 | 〒897-0302 鹿児島県南九州市知覧町郡103-1 |
| 電話番号 | 0993-58-7566 |
| 営業時間 | 10:00〜17:00 |
| 定休日 | なし |
| 駐車場 | 近隣の市営駐車場 |
| 料金 | 大人200円、小人100円 |
知覧茶屋
富屋食堂で提供されていたメニューを再現したものが、知覧特攻平和会館近くの知覧茶屋で実際に食べられるんだ。



鹿児島の郷土料理や、丼もの、釜飯、麺類など、トメさんの味が代々引き継がれている。
俺は親子丼が食べたかったんだけど、着いたらすでに営業時間が終わっていた。
平日は15:00で終わるので注意。
| 住所 | 〒897-0302 鹿児島県南九州市知覧町郡17856 |
| 電話番号 | 0993-83-4774 |
| 営業日 | 通年 |
| 営業時間 | 平日:11:00〜15:00 土日:11:00〜20:00 |
| 定休日 | 無休 |
| アクセス | [車] 指宿スカイライン 知覧インターから11km [バス] 鹿児島市内:山形屋(やまかたや)バスセンター〜特攻観音入口 料金:930円(小学生は半額) 鹿児島交通 特攻観音入口バス停 下車すぐ |
| 駐車場 | あり |
戦争の悲惨さを肌で感じる
俺は戦争っていうのは正義vsまた別の正義だと思っている。
本来なら話し合いで進めなきゃいけないところを互いに理解しあえず、結果武力に頼る。
そして必ず大勢の犠牲者が出る。亡くなった方のみならず、その家族や友人も、負った深い傷を一生背負いながら生きていく。
ただ、戦後の日本が今日に至るまで成長したのも戦争があったからこそなのかもしれない。
もし戦争がなければ、また別の日本になっていた可能性もある。
この特攻兵たちの上に生かされてると思うと、自分の未熟さを痛感させられる。
いろんな感情が湧くこの施設で一つ言えるのは、前向きな気持ちにはなれない。そして、見終わった後にどっと疲れる。
俺にとって知覧特攻平和会館とはそんな場所だった。

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